2010/11/16

台北、五股五福村、2010年11月13日、雨の中の結婚式

七瀬と僕は、美佳さんの控えるホテルへ車で送られ、バラアの一行を待つことに。
ホテルには、見事に和服に身を包んだ美佳さんの姿があった。台湾人の女性の着付け師がいて、笑顔のなか、手際良く仕上げが進められている。
家族で記念撮影などあり、とても幸せそうな美佳さんと家族の姿があった。家族の幸せは、周りの人々にも幸せを共鳴させる力がある。ふと、今の自分が、家族を幸せにするために何ができるのかを顧みた時だった。僕は知らず知らずのうちに部屋を出て、玄関先に立ち、バラア一行を待った。

やがて、遠くから爆竹の音と行列のラッパの音、そして台北慶和館の獅子舞太鼓の音が近づいて来た。雨の中、慶和館のアーフォエ、シャオテン、アリンの次男センユー、アツォンの次女ベイビーが果敢に獅子舞を舞いながら一行を先導している。その太鼓を休みなく打ち鳴らし続けているのは、アリンの長男センクワン、アツォンの長男センヤン、アツォンの長女ツーツェン。皆、雨に濡れながらも晴れやかな気概を失わずに演じ続けている。ここにももう一つの家族の姿があり、雨降りという悪条件の中、慶和館としての役目を力を合わせて、メンバーバラアのために精一杯打ち出してる姿に、僕は胸をつかれた。

一行の中ほどに馬に乗ったバラアの姿がある。元々イケ面な彼だが、この日は引き締まった面持ちがなお一層高貴な雰囲気を醸し出していた。一行がホテルの玄関先に着くと、バラアは馬からおり、玄関先で待ち受けていた美佳さんの弟、康秀君の差し出すお盆の上にあるりんごを取る。そして美佳さんの部屋べと向かう。



僕と七瀬は、外でご両人を待つことにした。
村中の若者が集まって、力を貸しているように見える。15分程して二人が姿を現した。雨は再び勢いを増してくる。御輿に美佳さんが乗り込む。僕と七瀬は、雨の中に立ち、御輿を先導すべく構えた。

2010/11/14

台北県五股五福村、雨の古式結婚式参加

11月13日土曜日。朝から雨。台北萬華区の台北慶和館副団長・王慶鐘(阿鐘:アツォン)の自宅の窓外に屋根からしずくが落ちる。今回、慶和館は僕のために、アツォンの自宅の一室を用意してくれた。ほとんどベッドで一杯になる小部屋には、机とネットケーブルが準備されていて、僕に対する心遣いが嬉しい。
今日は飯田市出身の酒井美佳さんと台湾在住の慶和館メンバーの張景皇君との台湾での結婚式だ。
張君=バラアの親父さんは五福村の村長で、今、まさに村長選の真っ最中。70年前の古式に則った由緒ある結婚式は、バラアが馬に乗って、美佳さんを迎えに行き、迎えられた美佳さんは御輿に乗ってバラアの家へ嫁ぐというもの。街中を50人を越える行列で花嫁道中だ。
今回は、日本人が台湾の古式結婚式で結婚するという珍しいケースということもあり街中の話題らしい。
僕と御花泉の七瀬は、日本人として美佳さんの御輿を桶胴太鼓とチャッパで先導する役。
かなりの長い道のりであろう中、朝からの雨は思いやられた。朝、8時に慶和館を出発、五股五福村の公民館へ。到着するとすでにたくさんの人たちが集まっていて、花嫁道中の準備が始まっていた。
(つづく)

2010/11/13

11月13日土、台北・・・雨です。

張君の結婚式。午前中は雨の中での太鼓演奏かな・・・
衣装を1丁しか持ってきていないからちょっと心配。

夜の会場は1,000人規模。

2010年11月、再び台北慶和館とともに・・・。

 10月30日、31日の第13回全国獅子舞フェスティバルin飯田に台北慶和館が参加。命がけの空中に舞う獅子と愛嬌のある北京獅子、おはこの広東獅子で絶大な人気を誇って10月28日来国、11月5日に帰国。良&御花泉もフェスティバルにはしっかり演奏で参加させていただいていたので、慶和館サポートは怒涛の日々。御花泉メンバーが力を合わせてのサポートの取り組みは、目を見張るものがありました。
 彼らが帰国後、その合間もつかの間、5日から御花泉の七瀬が、12日から僕が台北の地で催される、慶和館メンバーと飯田の女性との結婚式に参加すべく、台湾へやってきています。

 セントレアから国際桃園空港へ到着。明日の花婿である張君自身が迎えに来てくれました。いつもは、台北慶和館の芸術総監・王 慶齢(ウォン チンリン=アリン)が迎えに来てくれるので、張君に「慶和館は演奏かい?」と聞くとそうだと答えました。
 空港から台北中心市街まで60分ほどかかったでしょうか、とある、大変トラディッショナルなホテルで慶和館の副団長王 慶鐘(ウォン チンツォン=アツォン)とアリンが、僕らの車を待っていました。
 彼らとは、2005年に台北で出会って以来の付き合いで、もう、台湾訪問は10回を超えています。
その間、数々の忘れられない思い出の演奏を共にして来ました。
 およそ決まってそうなのですが、スケジュールというものがいつも見えません。
僕が乗っている車にアリンが乗り込むと、アリンの指示を受けて車は、地下の搬入口へ。
アリン「良さん、龍の太鼓大丈夫?」
龍の太鼓とは彼らの曲の「龍」の大太鼓一人打ちのことです。それを僕に打ってもらいたいらしい・・・
良「大丈夫だと思うけれど、明日演奏するのかい?」
アリン「フフフ、今日、今これからね」
良「ええっ~?」
なんて、いつものことなのです。
それも、30分後に演奏~おぉ~!
台北中のお医者様が集合している式典で、馬 英九首相も先ほど来たんだとか。
楽屋に着くと、台北慶和館のメンバーでごった返していました。今はすっかりメンバーに溶け込んでいる慶和館の衣装に身を固めた七瀬に合流。「おつかれさまです!」
慶和館のメンバーの半分は、王一族の子どもたち。今日は、いちばん小さいセンホン(3歳)も獅子舞で出演らしく・・・。団長をはじめとして、みんな、変わらぬ笑顔で迎えてくれました。
手際良く着替えると、すぐに舞台裏へ。リズムを思い出すのがやっとという状況。
アナウンスでは、日本一の日本人太鼓打ち、塩原 良さんが来てくれました的なことがとても乗りのいい調子で紹介されています。300人ほど集まっているパーティー席のステージに促されて、まず、僕の笑顔で観客にあいさつ・・・すごい反応です。
すぐに、「龍」が始まりました。
僕が演奏するきっかけもわからないままに、メンバーの目線の合図を受けて、大太鼓下拍子から大太鼓メインへ。
 最後は決まったフレーズを合わせて打ち止め。一間あって、すごい拍手です。
舞台上で、その会の代表者から、なぜか僕が出演料を受け取る役に。
良「ダージャーハオ!シェーシェー!」
・・・飛行機に乗っているときは思いもよらぬ台北初日でした。